ブログ

ドクターブログ

2型糖尿病の寛解は可能?カギとなる体重減少の効果を医師が解説

こんにちは、緑地公園いまだ内科・糖尿病甲状腺クリニック院長の今田 侑(いまだ たすく)です。

2型糖尿病は一生治らない病気と多くの方が思われているかもしれません。

しかし近年の研究によってこの認識が大きく覆されつつあります。しっかりと体重を減らすことで2型糖尿病が寛解する可能性があるということが証明されてきたのです。

今回は、イギリスで行われたDiRECT試験の結果をもとに、体重減少と糖尿病緩解の関係について解説していきます。

2型糖尿病の寛解は可能?カギとなる体重減少の効果を医師が解説

DiRECT試験とは

DiRECT試験(Diabetes Remission Clinical Trial)は、発症から6年以内の2型糖尿病で肥満を伴う方306名を対象に行われた臨床試験です。この試験は参加者を通常治療を行う群(対照群)と集中的な体重減少プログラムを行う群(介入群)の2つに分けて、その効果を比較しました。

対照群ではこれまで通りの糖尿病治療を継続します。一方で介入群では、まず約850kcal/日の低カロリー食を3〜5ヶ月間継続し、その後2〜8週間かけて段階的に通常の食事へ戻しました。さらにその後も体重維持のための支援が行われました。

1年後の結果では、対照群の寛解率が4%であったのに対して、介入群では46%が緩解を達成しました。2年後でも36%が緩解を維持し、5年後の追跡でも27%が緩解状態を保っていました。

ここで言う寛解とは、すべての糖尿病薬を中止した状態で、HbA1cが6.5%未満を2ヶ月以上維持できている状態を指します。完治とは少し異なりますが、薬に頼らずに正常な血糖コントロールができている状態です。

どれくらい痩せればいいのか

DiRECT試験で注目されたのは、体重の減少量と糖尿病寛解率が強く関係していたことです。

減量が5kg未満では寛解率は7%でしたが、5〜10kgの減量で34%、10〜15kgの減量で57%、さらに15kg以上減量できた方では86%が寛解に至りました。つまり十分な体重減量が達成できたら、薬を使わずに血糖を正常な状態に保てる可能性が高まるということです。

肥満があると、肝臓や筋肉、膵臓に脂肪がたまり、インスリンの働きが悪くなります(インスリン抵抗性)。また膵臓のβ細胞の働きも低下してインスリン分泌も低下します。体重が減ることでこれらの臓器にたまった脂肪が減少し、インスリン抵抗性や分泌機能が改善すると考えられています。

早期治療の重要性

この試験は発症から6年以内の方を対象にしていました。糖尿病を発症してからの期間が長くなるほど、膵臓のβ細胞は徐々にダメージを受け、回復しにくくなります。

早い段階であれば体重減少によって機能が回復する可能性が残っています。そのため、まだ軽いから様子をみるというよりは、今だからこそ頑張ることが重要です。

もちろん発症から年数が経っている場合でも、減量には大きな意味があります。体重が減ることでインスリン抵抗性が改善し、血糖値が安定したり薬の量が減らせたりします。

減量は自己流で行わない

DiRECT試験では医療スタッフによる継続な支援のもとで減量が行われています。1日あたり約850kcalという極端な食事制限を自己判断で行うことは危険ですし、糖尿病薬を使用している方が急に減量を始めると低血糖のリスクもあります。また急激な減量は筋肉量の低下やリバウンドの原因にもなります。

減量は短期間で一気にするのではなく、安全に続けられる形で行うことが重要です。医療機関での定期的な診察と薬の調整を受けながら取り組むことが、結果的に成功への近道になります。

まとめ

肥満を完全することは2型糖尿病の病態そのものを改善し、寛解を目指せることがあることが示されました。特に発症早期ではその可能性がより高まります。

緑地公園いまだ内科・糖尿病甲状腺クリニックでは、患者さん一人ひとりに合わせた現実的な減量目標を設定し、無理のない食事計画をご提案します。体重やHbA1cを定期的に確認しながら薬の調整も行なっていきます。体重減少を通じて糖尿病の改善を目指したい方は、どうぞ当院にご相談ください。

参考文献

•Lean ME, et al. Primary care-led weight management for remission of type 2 diabetes (DiRECT): an open-label, cluster-randomised tryal. The Lancet. 2018;391(10120):541-551. doi: 10.1016/S0140-6736(17)33102-1

•Lean ME, et al. 5-year follow-up of the randomized Diabetes Remission Clinical Trial (DiRECT) of continued support for weight loss maintenance in the UK: an extension study. The Lancet. 2024;12(4):233-246. doi: 10.1016/S2213-8587(23)00385-6