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糖尿病学会報告|オゼンピックやマンジャロが効きやすい方とは?
こんにちは、緑地公園いまだ内科・糖尿病甲状腺クリニック院長の今田 侑です。
先日、大阪で開催されました第69回糖尿病学会年次学術集会に参加し、口演発表を行ってきました。
今回発表した内容は、前職の関西労災病院に在籍していた時に行った研究報告です。2型糖尿病患者さんに対して処方したGLP-1受容体作動薬のオゼンピック®(セマグルチド)とGIP/GLP-1受容体作動薬のマンジャロ®(チルゼパチド)について、「どのような患者さんで体重やHbA1cが低下しやすいのか」を検討しました。

糖尿病薬で使われるGLP-1受容体作動薬とは?
GLP-1受容体作動薬は、糖尿病治療で使用される注射薬の一つです。
GLP-1は食事をとったあとに腸から分泌されるホルモンで、血糖値に応じてインスリンの分泌を助ける働きがあります。この仕組みを利用した薬が、GLP-1受容体作動薬です。
代表的な薬の一つにオゼンピック®があります。血糖値をさげるだけでなく、胃の動きをゆっくりにしたり、食欲を抑えたりする作用があるため、体重減少効果も期待できます。
糖尿病治療では、血糖値を改善することはもちろん大切ですが、体重管理も非常に重要です。特に2型糖尿病では、体重増加や内臓脂肪の蓄積が血糖悪化に関係していることが多く、血糖値と体重の両方を意識した治療が必要になります。
マンジャロはGIP受容体とGLP-1受容体の両方に作用する薬です。
マンジャロ®はGLP-1だけでなくGIPというホルモンの受容体にも作用する薬です。そのため、正式にはGIP/GLP-1受容体作動薬と呼ばれます。
GIPもインスリン分泌にかかわるホルモンの一つで、GLP-1と合わせて作用することで血糖改善や体重減少により強い効果が期待されています。実際の資料でも、マンジャロ®はHbA1cや体重を大きく低下させることがあり、糖尿病治療の選択肢として重要な位置づけになってきています。
一方で、吐き気、便秘、下痢などの消化器症状の副作用には注意が必要です。また、食事量が極端に減ってしまうと、筋肉量の低下や栄養不足につながることもあります。そのため、これらの薬を使用する際には、血糖値や体重だけでなく、食事量、体調、筋肉量なども含めて確認しながら治療を進めることが大切です。
今回の研究でわかったこと
今回の研究では、オゼンピック®、マンジャロ®のいずれも、使用開始から3か月でHbA1cと体重の低下がみられました。
その中で特に注目したのが、これまで別のGLP-1受容体作動薬を使用したことがあるかどうかです。
GLP-1受容体作動薬を初めて使用する方では、体重やHbA1cの改善が得られやすい傾向がみられました。一方で、すでにGLP-1受容体作動薬を使用していた方では、薬を切り替えても追加の体重減少や血糖改善効果が限定的になる可能性がありました。
また、糖尿病の罹病機関が短いほど、HbA1cの改善が得られやすい可能性も示されました。
薬の効き方は患者さんごとに異なります。だからこそ、薬の名前だけで判断するのではなく、これまでの治療歴、糖尿病の経過、体重、生活習慣などを含めて考えることが大切です。今回の研究は、より適切な治療選択につなげるための手がかりを探すものになりました。
実際の診療に研究を活かすこと
臨床研究というと少し難しく聞こえるかもしれません。
しかし目的はとてもシンプルです。目の前の患者さんに対して、「どの薬が合いやすいのか」「どのような点に注意して治療を進めるべきか」を、より具体的に考えるための手がかりを見つけることです。
糖尿病治療薬は、この10年ほどで大きく進歩しました。血糖値をたんに下げるだけでなく、体重、心臓、腎臓、肝臓など、さまざまな臓器へのメリットを考えながら薬を選ぶ時代になっています。
だからこそ、よく効く薬だから全員に同じように使うのではなく、患者さん一人ひとりの状態に合わせて治療を考えることが重要です。
また、診療の中で得られた知見を学会などで共有することで、他の医療機関での糖尿病治療にも役立つ可能性があります。日々の診療で感じた疑問をデータとして整理し、医療者同士で共有していくことは、糖尿病治療全体の発展にもつながる大切な取り組みだと考えています。
まとめ

今回は、第69回糖尿病学会年次学術集会で発表した内容についてご報告しました。
オゼンピック®やマンジャロ®などの薬は、2型糖尿病治療において非常に有用な選択肢です。一方で、薬の効果は患者さんによって異なります。
今回の研究ではGLP-1受容体作動薬を初めて使用する方では効果が得られやすい可能性や、糖尿病の罹病機関が短いほど血糖改善効果が出やすい可能性が示されました。こうした結果は、実際の診療で薬を選ぶ際の一つの参考になると考えています。
医師の仕事は、すでにわかっている知識をもとに診療を行うだけではありません。日々の診療の中で生まれる疑問を大切にし、新しい知見を見つけ、それを患者さんの治療に還元していくことも大切な役割の一つです。
緑地公園いまだ内科・糖尿病甲状腺クリニックでは、糖尿病をはじめとした生活習慣病について、患者さん一人ひとりの状態に合わせた治療を大切にしています。今後も、実際の臨床に即した視点を大切にしながら、診療だけでなく研究や情報発信にも取り組んでまいります。
今回の学会では自分の発表だけでなく、シンポジウムやほかの先生方の口演を聞き、最新の疾患の知識や診断のアップデートや新しい治療戦略など日々の診療に直結する内容を多数学ぶことができました。
臨床の現場で感じていた疑問に対するヒントも得られて非常に充実した時間となりました。
