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橋本病(慢性甲状腺炎)とは?原因や症状・治療法を医師が解説
こんにちは、緑地公園いまだ内科・糖尿病甲状腺クリニック院長の今田 侑です。
健康診断で甲状腺の異常を指摘され、詳しく調べると橋本病(慢性甲状腺炎)が見つかることがあります。
橋本病は日本人に比較的多い病気ですが、症状がゆっくり進むために自覚がないまま健診などで指摘されることも少なくありません。
最近なんとなく疲れやすい、寒がりになった、むくみやすい、などの症状が続くときには甲状腺の働きが関係していることがあります。
今回は橋本病の原因や症状、検査や治療についてわかりやすく解説します。

橋本病とは
橋本病(慢性甲状腺炎)は、免疫の働きの異常によって甲状腺に慢性的な炎症が起こる病気です。
甲状腺は首の前側にある小さな臓器で、体の代謝を調整する甲状腺ホルモンを作っています。このホルモンは体温、エネルギー代謝、心臓の働きなど体のさまざまな機能に関わっています。
橋本病では免疫機構によって自分の甲状腺が攻撃されてしまうため、長い時間をかけて甲状腺の働きが弱くなることがあります。その結果、甲状腺ホルモンが不足する甲状腺機能低下症が起こることがあります。
日本では人口の約3〜5%に見られると言われ、特に女性に多い病気です。
なぜ橋本病になるのか
橋本病は自己免疫疾患の一つで免疫の働きが誤って自分の甲状腺を攻撃してしまうことで起こります。血液検査では抗TPO抗体や抗サイログロブリン抗体といった自己抗体がみられることがあり、診断の手がかりになります。
発症には体質的な要素も関係していると考えられていて、橋本病は家族内でみられることもあります。必ず遺伝する病気ではありませんが、家族に橋本病や他の自己免疫疾患の方がいる場合には発症しやすい傾向があると言われています。
そのため、ご家族に橋本病の方がいる場合には一度甲状腺の検査を受けておくと安心です。
橋本病で起こる症状とは
橋本病は症状がはっきりしないことも多く、健康診断で偶然見つかることも少なくありません。
また、甲状腺がゆっくりと大きくなることで、首の前側が少し腫れて見えることがあります。健康診断や人間ドックで「甲状腺が大きい」と指摘されて見つかることも少なくありません。
甲状腺ホルモンが不足してくると体の代謝が低下するため、疲れやすい、寒がり、体重が増えやすい、むくみやすい、便秘、肌の乾燥などの症状が現れることがあります。集中力の低下や声のかすれなどを感じる方もいます。
女性では月経不順が見られることもあります。また、甲状腺ホルモンは妊娠や胎児の発育にも影響するため、妊娠を考えている方では甲状腺機能のチェックが重要になります。
どんな検査をして、どう治療するのか
橋本病は血液検査と甲状腺エコー(超音波)検査で診断します。
血液検査では甲状腺ホルモン(FT3やFT4)やTSHを測定し、抗TPO抗体や抗サイログロブリン抗体などの自己抗体の有無を確認します。エコー検査では甲状腺の大きさや内部の状態を調べます。
抗体が陽性でも甲状腺機能が正常な場合は、すぐに治療を行うのではなく、定期的な検査で経過を見ることが一般的です。ただし、妊娠を希望されている方や妊娠中の方では、胎児の発育との関係からTSHの値に応じて早めに甲状腺ホルモン治療を開始することもあります。
甲状腺機能低下症がある場合には、不足しているホルモンを補う治療を行います。日本ではレボチロキシン製剤であるチラーヂン®などを内服し、血液検査を見ながら量を調整していきます。適切な治療を続ければ、多くの方が普段どおりの生活を送ることができます。
日常生活で気をつけること
橋本病ではヨウ素(ヨード)の摂りすぎには注意が必要です。日本では昆布やのりなど海藻類を多く食べる習慣があり、ヨウ素摂取量が多くなる傾向にあります。通常の食事で問題になることはほとんどありませんが、昆布だしや昆布茶を大量に摂る習慣がある場合には注意が必要です。イソジン®などのうがい薬にもヨードが含まれています。通常の使用量で大きな問題になることは多くありませんが、長期間頻繁に使用する場合には医師に相談することをおすすめします。
また、チラーヂン®は空腹時に内服することで吸収が安定します。カルシウムや鉄の薬、胃薬などは吸収を妨げることがあるため、時間をあけて服用することが大切です。
まとめ
橋本病(慢性甲状腺炎)は、日本人に比較的多い甲状腺の病気です。病状がゆっくり進むため気づきにくいこともありますが、疲れやすさや寒がり、むくみなどの症状や健康診断での異常をきっかけに見つかることもあります。
すべての方がすぐに治療を必要とするわけではありませんが、甲状腺機能低下症がある場合にはホルモン補充療法によって症状の改善が期待できます。大切なのは正確な診断と定期的なフォローです。
緑地公園いまだ内科・糖尿病甲状腺クリニックでは、血液検査や甲状腺エコー検査を用いて甲状腺疾患の診断と治療を行っています。健康診断で甲状腺の異常を指摘された方や、ご家族に橋本病の方がいる場合なども含め、気になる症状がある方はどうぞお気軽にご相談ください。
