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スタチンは怖い?筋肉・糖尿病・肝臓への副作用を医師が解説
こんにちは、緑地公園いまだ内科・糖尿病甲状腺クリニック院長の今田 侑(いまだ たすく)です。
コレステロールを下げる薬として広く使われているスタチンですが、副作用が心配で飲みたくないというご相談をよくいただきます。インターネットや新聞記事で目にした情報がきっかけになることも多いようです。
特に多いのが、筋肉への影響、糖尿病になるのではという不安、肝臓への負担です。
今回は、この3つについて医学的なデータをもとに整理してみます。

スタチンとはどんな薬か
スタチンは肝臓で作られるコレステロールの合成を抑えることで、血液中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)を下げる薬です。
LDLコレステロールが高い状態が続くと、血管の内側にコレステロールがたまり動脈硬化が進行します。その結果、心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる病気につながります。
スタチンは1980年代に登場して以来、これまでに多くの大規模研究で心筋梗塞や脳卒中を減らすことが証明されてきました。現在では世界中で最も使われている脂質異常症の治療薬です。
日本で使われている主な薬にはプラバスタチン(メバロチン®)、アトルバスタチン(リピトール®)、ピタバスタチン(リバロ®)、ロスバスタチン(クレストール®)などがあります。それぞれ効果の強さや特徴が少しずつ異なります、患者さんの状態に合わせて適切なものを選択します。
スタチンで筋肉が溶ける?
横紋筋融解症という言葉をインターネットなどで見て不安になられる方が多いです。これは筋肉が壊れてしまう重い副作用ですが、実際の頻度は非常にまれで0.1%未満と報告されています。
一方で飲み始めてから筋肉痛が出たと感じる方は一定数おられます。ただし、スタチンとプラセボ薬を比較した研究では、筋肉痛症状の出現率に大きな差がなかったという報告もあります。つまり、薬を飲んでいるという意識が症状に影響している可能性が示されています。
もちろん本当に体に合わないケースもあります。その場合には用量を減らしたり、別の種類に変更したりすることで改善することがほとんどです。自己判断で辞める前に必ずご相談いただきたいと思います。
スタチンで糖尿病になる?
数年前に「スタチンで糖尿病リスクが上がる」という報道があり、不安を感じている方もいらっしゃいます。確かに大規模な臨床試験では糖尿病の新規発症が約9%増えるという報告があります。ただしこれは相対リスクでの話です。もともと糖尿病になりやすい、境界型の方や肥満の方でその影響が目立つ傾向があります。
HbA1cの上昇幅は平均0.1%程度とごくわずかです。これに対して心筋梗塞や脳卒中を防ぐ効果ははるかに大きいことが示されています。
つまり、健康な人がスタチンを飲んだだけで突然糖尿病を発症するというよりも、もともとリスクのある方で少し発症が早まる可能性があるという理解が正しいです。
当院ではスタチン開始後も定期的に血液検査を行い、必要に応じて生活指導や治療調整を行っています。
スタチンで肝臓が悪くなる?
スタチンの副作用として肝機能障害が添付文章にも記載されています。実際に血液検査でASTやALTが軽度上昇することがありますが、多くは一過性で軽度です。重い肝機能障害はまれとされています。
大切なことは開始前と開始後に定期的な血液検査を行うことです。数値の変化を早めに把握できれば減量や変更で対応できます。
また、もともと脂肪化がある方ではLDLコレステロール値が改善することで肝機能がむしろ良くなることもあります。肝臓を守るためにスタチンを避けて、その結果、動脈硬化を進めてしまう方が問題になることもあります。
まとめ
どんな薬でも副作用の可能性はあります。どれだけリスクがあるか、と同じくらい、どれだけ将来の病気を守れるかが大事です。スタチンは心筋梗塞や脳卒中を予防する効果が科学的に確立している薬で、多くの場合はメリットがリスクを上回ります。
また、薬だけに頼るのではなく生活習慣の改善で治療を進めていくのもよいと思います。
緑地公園いまだ内科・糖尿病甲状腺クリニックでは、血液検査や動脈硬化リスクを丁寧に評価して、本当に必要かどうかを一緒に考えていきます。開始後も定期的に採血でフォローして、副作用がでていないか確認しながら治療を進めます。
副作用が心配で迷っている方も、自己判断で中止する前にぜひご相談ください。患者さん一人ひとりの状況に合った治療方針を一緒に考えていきます。
参考文献
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•Newman CB, et al. Statin Safety and Associated Adverse Events: A Scientific Statement From the American Heart Association. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2019;39(2):e38-e81. doi:10.1161/ATV.0000000000000073
